夢を見た。ある部屋に私のよく見知った男性がいる。彼は部屋中央に置かれた椅子に座り、周囲を見回している。彼の右前方には衣装ケースがあり、私はそれを後方から見ている。私は、彼に声をかけようとする。


と、瞬きの瞬間に、置かれている状況は変わらないまま、私は別の次元へとはじかれてしまっていた。先ほどと同じ部屋。中央の椅子。衣装ケース。でも彼はいない。


今同じ瞬間に別の次元では彼は変わらずここに存在しているのだ。でも、もう、彼と会うことはない。今、同瞬間、私は彼と重なった場所に存在している。何故か私には分かる。でも、彼はいない。


そこにいる私とは別意識の私が、部屋の外からそれを俯瞰している。私はとてもかなしくなる。そして恐怖を感じる。以前みた映画でおなじ気持ちになったことを思い出した。『アザーズ』。死んだ者と生きた者が、同じ場所ですれ違いながらも、別々の世界を生きている。


そうか。私は死んでしまったのか。もしくは彼が。