『戦争とプロパガンダ 3』あとがきより

本を読んで印象的だった部分を人に説明しようとするんだけど、どうもうまく伝えられない。咀嚼できてないって事か。この引用だけで分かってもらえるのかも、ちょっと不安。読んでます?

 パレスチナ人としてのアイデンティティがよみがえる契機となったのが、1967年の戦争での汎アラブ主義の大敗北と、イスラエルによるガザ、西岸地区などの占領支配の開始である。これに呼応して、当初は周辺アラブ諸国によってアンマン(ヨルダン)につくられたPLOパレスチナ解放機構)が民族運動組織として自立しはじめ、69年に就任したアラファト議長のもと、自力でパレスチナの解放をめざすようになる。難民たちが目覚めたナショナリズムは、失われた祖国の解放を目標に掲げながら、70年以降ベイルートを拠点として、南アや中南米など世界の他地域の解放運動と積極的に連帯していった。領土主権をもたない亡命者の運動であることが、この運動を民主的で開かれたものにし、他のアラブ民族運動とは大きく異なり、偏狭なナショナリズムを超えた次元で考えることを可能にしたようだ。「PLOの永遠の功績」とサイードがたたえるのは、このような広がりをもったパレスチナ人のアイデンティティを可能にしたことである。