『コルシア書店の仲間たち』コルシア書店の仲間たち (文春文庫)作者: 須賀敦子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1995/11/10メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 44回この商品を含むブログ (61件) を見る

すばらしい日本語だぁ。鏑木清方さん以来の、焦がれちゃうような文章。


コリシア・デイ・セルヴィ書店。戦後すぐ、キリスト教を基盤とした、ある意味、生活共同体の場を夢見て構えられた書店。やってくるそれぞれの人間が、自分の理想をそこに投影し、でも自分の思いどおりにはいかない現実に向き合って、また自らの人生に戻って行く。


「若い日に思い描いたコリシア・デイ・セルヴィ書店を徐々に失うことによって、私たちはすこしずつ、孤独が、かつて私たちを恐れさせたような荒野でないことを知ったように思う」p232


同じ日に観た↓『ロッカーズ』の印象と相まってかなしい。人が若い時抱えてた理想の炎が、年とって、形を変え、色を変え、温度を変え、それでもパッ、パッとはぜる姿、その情熱って、とても愛おしく切なく狂おしい。