『メゾン・ド・ヒミコ』メゾン・ド・ヒミコ 通常版 [DVD]出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/03/03メディア: DVD購入: 2人 クリック: 87回この商品を含むブログ (255件) を見る

パソコンの音量を最大にしても、ぼそぼそ喋る場面の声が聞こえない。2回目はコメンタリー聞きながら日本語字幕で観た。


オダギリジョーと西島さんの佇まいいいなぁ。音楽、映像、建物、空気感、ばつぐん。
田中泯さんは、色が浅黒いので、真っ白い衣装とターバンが似合ったろうになぁ。


ちょっとおぼろげだけど、メゾン・ド・ヒミコの住人の、皆で暮らしてれば楽しいと思ってたけど、一人また一人といなくなってくのを見ながら、自分の死を待ってるようなものなのね、という台詞が良かった。


白っぽい色味の画面から漂ってくるのは、潮の匂いと、花の香り、化粧品、香水、うっすら老人臭、男の整髪料、血と、死臭。かな。乾燥して薄まって、それでもほのかにたゆたう匂い。なぜか精液の香りはしなかった。


結局、父と子の関係が、劇的に融解するわけではないんだな。卑弥呼は沙織に何も語らない。「あなたが好きよ」。それだけで終わらせることもできるかもしれないけど、、、私にはそう思えないけどなぁ。あの父子は緊張感がありすぎて、向き合ってても距離ばかり強く感じた。最期まで、溶けなかった。でも、それでも、父親がいなくなって、沙織は受け入れなきゃならないんだな。


言葉も喋れなくなったルビイと息子との関係もそう。父親は無言で投げかけるばかり。子供は苦しみ悩みつつ、それを受け入れるしかないんだろう。受け入れなければ、自分が辛い。


健康具合を調べるため、目をつぶってその場で足踏み、それをしばらく続けて目を開けて、最初の位置からどれほどずれてるかをチェックするというのがある。何となくそれを思い出した。皆どこに進むでもなく集団で足踏みしているつもりで、でも思いもよらず、それぞれどこかへ流れただよってしまっていて、周囲には誰もいず、目を開けて周りを見回した時、寄る辺なさと、諦めと、それでも孤独の中、今日を暮らし終えようとする自分の哀しいしぶとさを自覚する。


転機になる場面だし、楽しくもあったけど、、コスプレするあたりから、こちらの気分とのずれを感じた。沙織っぽくない。ダンスシーンは、あんなにカッチリとふりつけてしまわず、それぞれが好きに踊ればよかったのにと思う。へたくそでも、恍惚に落ちながら自分を踊ればよかったのに。なんかあそこだけ、TVCMみたいだった。他の映画のダンスシーンと何も変わらない。