『進化しすぎた脳』進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)作者: 池谷裕二出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/01/19メディア: 新書購入: 49人 クリック: 230回この商品を含むブログ (256件) を見る

面白かった部分。


p192 曖昧性を確保するために、脳はものごとをゆっくり学習する。特徴を抽出するために、学習の速度がある程度遅いというのが重要。


p312 医療技術が進歩して長生きするようになって来て、人類は本来だったら発症しなくてもすんだ病気にかかっている。


環境に適応できなければ子孫を残さないというのが、自然淘汰の原理。でも、現代社会では、本来なら遺伝子を次世代に引きつぐ機会が与えられなかった人でも、子孫を残すことができる。
現代の医療技術がなければ排除されてしまっていた遺伝子を、人間は保存している。これは、自然淘汰の原理に反している。この意味で、人間はもはや、進化を止めたと言っていい。


その代わり、人類は自分自身の「体」でなく、「環境」を進化させている。(ex.メガネ、車椅子、都市、インターネット)
→新しい進化の方法。


p315 「デザイナー・ベイビー」
→環境とは関係のない進化。人間の欲望が進化の法則に。

自然淘汰とは、進化というプロセス。だが、今では、プロセス自体が進化しはじめた。


p369 一見、科学という学問は揺るぎない確固たる営みだが、現実には、データの解釈によって結論が左右。→科学は解釈学。


科学で証明できることは相関だけ。因果を証明する事は、基本的に不可能。相関と因果関係は全く違う。
(ex.常夜灯を点けた部屋で寝かせた子は近視に。→近視の親が、子を見やすいように常夜灯を点けていた〈遺伝だった〉可能性も。)