『いんちき魔術』


ハンコをもらって離れがたい。いんちき宗教人に花が咲く。花が咲く。あすこの丘へ登りかけ、こちらの海で溺れかけ、いんちき運転手に握手をしましょう。しましょう。うわの空で吐き出す言葉。薄い爪がカミソリのようで、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいと繰り返し謝る遊びに、わたくしひどく感じ入ってしまい、机に向かってぶつぶつと、辛気くさい言葉を唱え続けている。離れがたい。離れがたい。離れがたかったあの人も、今ではどこかでポーンポーンと景気のよい花を咲かせている。つま先のダンス、とめがたい。やまない花の音、たえがたい。